広がる映像テクニックの世界

ビジュアル・エフェクト(VFX)技術を駆使した、コンピューターによるデジタル映像は、ジャンル問わずさまざまなハリウッド映画で観ることができる。

SF/ファンタジーといえば特撮の世界、特撮に慣れてしまった観客を、それでも驚かせなければいけない宿命を、このジャンルは背負っている。技術、表現等、なんらかの形で「あの映像はすごい」と観客に思わせなければいけないのだ。これは技術だけでは難しく、クリエイターの想像力が大きくモノをいってくる。

例えば、『ハムナプトラ 失われた砂漠の都』。これは'32年の『ミイラ再生』のリメイクだが、監督のスティーブン・サマーズは「インディ・ジョーンズ」シリーズ顔負けの大活劇に仕上げた。

'49年の『猿人ジョー・ヤング』のリメイク『マイティ・ジョー』。かつて「シンドバット」シリーズで有名なレイ・ハリーハウゼンがモデルアニメで動かした巨大ゴリラ、ジョーが今回はデジタル技術とアニマトロニクス(機械人形)技術によって登場。デジタルのジョーは草原を走り回り、アニマトロニクスのジョーは役者とライブで共演、両者の差を最小限に抑え、すごいVFXを見せてくれる。最近のハリウッド映画でリメイク映画が多いのは、このようなVFXの発達によるところが大きい。

スピルバーグ監督の第二次大戦映画『プライベート・ライアン』も最新のSFX&VFXがあったからこそ、いまだかつてない戦争映画になったといえる。兵士の顔のリアルな弾着や爆破等を旧来のSFX、上空に浮かぶ気球や戦闘機の表現や背景の画像にはVFXを用い、まるでドキュメンタリーを観ているような臨場感を作り上げた。

ロビン・ウィリアムス主演の『奇蹟の輝き』は、不可能を可能にするVFXを、そのアイデアによってより高めた典型。天国の油絵的ビジュアルは前代未聞のもので、これが『アルマゲドン』『マイティ・ジョー』を押しのけてアカデミー賞のオスカーをゲットしたのは当然といえば当然。作家のイメージと技術がみごとにクロスした成功例といえる。


VFX満載の話題作『スター・ウォーズ エピソード1』にはデジタル・カットが2,003もある。これは4秒間に1カットの割合になり、もはやデジタル映画!?

『マトリックス』はフローモーションといわれるVFXを開発。静止した物体の周りを視点が回転する撮影技術に対し、こちらは、その物体が静止状態ではなく、ゆっくりと動いている点が異なる。だれも観たことのない映像、バーチャルリアリティ・ワールドを披露してくれた『マトリックス』のアニメ的な演出はこのように空間だけではなく時間も操ることで生まれた。監督のウォシャウシキー兄弟のことばを借りるなら「大好きな日本アニメの実写化」で、随所にその影響が見え隠れしている。彼らの好きなものへのこだわりと情熱が新技術を生み、新しい映像世界を切り開いたことになる。クリエイターのヴィジョンがモノいう時代が到来したということなのである。

 

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